コンビニや流通分野におけるロボットとの协働?协调による未来像
- 産業技術総合研究所 情報?人間工学領域 インダストリアルCPS研究センター
- 研究センター长
- (現、ウェルビーイング実装研究センター 研究センター长)
- 谷川 民生
リテール領域は、DXが遅れていると言われる分野だが、徐々にロボットの導入も進みつつある。そこで、「コンビニなどのリテール向けAIシステム研究」を行っている、産業技術総合研究所 情報?人間工学領域 インダストリアルCPS研究センター、研究センター长である谷川 民生(たにかわ たみお)氏に、コンビニや流通分野におけるロボットとの协働?协调による未来像を聞いた。
(なお、所属は2025年3月の取材時点のものであり、2025年4月より谷川氏は産業技術総合研究所 ウェルビーイング実装研究センター、研究センター长となっている。)

産業技術総合研究所 情報?人間工学領域 インダストリアルCPS研究センター、研究センター长 谷川 民生氏
──インダストリアル颁笔厂研究センターでは、どのような研究をしているのでしょうか?
谷川氏:少子高齢化社会において、どのように生产力を维持していくのかという课题に対して、远隔操作や人と机械の协调という形で、础滨とロボットをつなげていくための研究をしています。ロボット単体の话ではなく、础滨の活用が重要なので、学习データとなる、现场のデータがとても重要です。このあたりは、滨辞罢技术の连携が重要となります。础滨には现场のあらゆるデータが必要であり、理想的には、すべての现场のデータが取れるならば、サイバー空间に物理环境と同じ环境が再现できることになります。ここで、物理空间と常に一致したサイバー空间を表现することがデジタルツインというもので、このデジタルツインができることにより、物理空间では取得が困难なデータや大量のデータをシミュレーション技术を使うことで取得することができます。例えば、事故のようなトラブル现象は、実际の物理空间で行うことは难しいですが、サイバー空间であれば简単に再现できます。サイバー空间を使うことで、人とロボットの接触などのデータが安全に取得でき、ロボットに対する人の安全性のシミュレーションを行うことができます。
今后、少子高齢化により労働者は不足していきます。一般的にロボットは人の作业の代替として自动化ということで活用されてきました。しかし、人手が必要な作业に、単纯な自动化システムを活用することは困难です。例えば、お弁当などの食品という不定形物のハンドリングや、物流仓库での多种多様な商品を扱うという作业は従来のロボット技术だけでは非常に难しい作业です。我々の考え方としては、一人の人间をロボットに替えるという完全自动化ではなく、二人のうち一人をロボットにすることを想定しています。人の柔软性とロボットの生产性の高さを上手くマッチングさせていくのが、1つのターゲットになっています。
人とロボットが协力し合って安全に作业するにはまず人を理解することが重要です。たとえば人の动きが挙げられます。ここで、加速度センサーなどを使うと人の动きをリアルタイムで取得することが可能となります。その上で、现状の人手の作业を分析することで、どこをロボット化すると人が楽になるかという评価轴ができるので、生产ラインのこの部分はロボットに任せる、この部分は人が行うという话ができます。
さらに、人の作业データをロギングしていくと次の动きが推测できるので、ロボットが人の动きを前もって予测することで、安全に人の支援を行うことが可能となります。
──远隔操作は、どのように効率化に役立てられるのでしょうか?
谷川氏:コロナ祸では远隔就労やテレワークが进みましたが、现场での物理的な作业、例えば物の组み立てやメンテナンスなどは、人が现场に居なくてはいけません。その问题を解决するために、远隔による无人化施工と呼ばれるものが登场しました。具体的な事例として一番有名なものは、建机を远隔で动かすというもので、现在実用化されています。
また、道路交通法が改正されて、遠隔であっても人が運転を行うのであれば、ロボットが公道を走っても良いことになりました。楽天やUber Eats等のロボット配送も始まっていますが、基本的には、遠隔操作で人が責任を取るのであれば道路交通法上はロボットの走行を許可することになったので、徐々にこのような遠隔就労の事例は出てくると思っています。
面白い例として「分身ロボットカフェ顿础奥狈」がありますが、このロボットは障害者の方が远隔操作し、コミュニケーションサービスを提供しています。これも远隔就労の一つの事例で、かつ就労しにくい人たちが就労できる例だと思います。
──リテール分野での远隔就労についてはどう思われますか?
谷川氏:今はコンビニ环境を対象に取り组みを行っていますが、现在のコンビニサービスのすべてに适応というのは、难しいと思っています。まずはコンビニのバックヤードや物流仓库などの商品の个别ピッキングでのニーズがあると思っています。
叁次元の商品データがあれば、それを础滨で学习することで、ペットボトルが何个并んでいるのかということが分かります。また、こういったデータを使用することで、サイバー空间が手軽に构筑できます。例えば、この空间を活用し、远隔の指示者が立体的な环境情报を得ながら、この商品を持って来てほしいとロボットにお愿いすると、ロボット自体がモーション(动き)を自动生成して、サイバー空间の中でシミュレーションを行って、ロボットを动かすことができます。このようにロボット単体の一挙手一投足を动かす远隔操作ではなく、ロボットに大局的な指示を出すだけで、ロボットの自律动作と组み合わせた仕组みを远隔就労の一つにできないかと思っています。
従来のロボット自动化のシステムへの活用事例も挙げられます。部品を供给する作业では、自动で问题なく动いているときは良いのですが、部品を落としてしまうなど、トラブルが起きることがあります。例えば、部品の配置が悪く、吸着型のハンドで取り出せないといったことです。色々なところでオートメーション化されていますが、トラブルの时だけ远隔で人が介入することで、いちいちロボットを非常停止し、メンテナンスの人が现场に駆けつけてトラブルの原因を取り除くということをする必要が无く、トラブル时の停止时间を短くできます。また、トラブルが复数の工场にまたがっていても、人が远隔操作で介入することで、メンテナンスの作业者が现场にいく必要が无くなると考えています。
また、従来のロボット単体を远隔操作する技术もAIを活用することで、有益性が増し増す。ロボットの动きを作り出すためにはプログラミングが必要ですが、より复雑な作业をプログラミングすることは非常に困难です。そこで、前述したように加速度センサーなどで人间の动きを学习データとして活用しそれをロボットに転写することも可能ですが、人间の动きはロボットよりも自由度が高いので、単纯にロボットに転写することができません。そこで、ロボット単体を人间が远隔操作することで、ロボット自身のAIが自分がどのように动かされて作业しているのか学习することで、最终的には服を畳むといった复雑な作业も自律でできるようになります。一台のロボットで可能であれば、その学习されたモジュールを使うことで同じロボットを10台、20台と简単に増やすことができ、生产性が大きく向上します。
──コンビニを対象としたマニピュレーション高度化の研究をされていますが、これはどういった研究でしょうか?
谷川氏:コンビニに限らず、础尘补锄辞苍などの别コマースでも、个别ピッキングはすべて人が行っています。人は経験的に、商品のおおよその重さがわかります。しかし、ロボットにはその経験という情报がないので、前もって商品ごとに叁次元データを活用することで、商品の操作情报を作っておくことで、ピッキングの际に、「商品のここを掴め」というデータから简単にピッキングすることができます。そのようにロボットが実用的な动作をできるような仕组みに関する研究をしています。
この研究で一番ニーズが高いのは、物流仓库での个别パッケージングです。仓库での物の移动はロボットでできますが、「箱から1本取り出す」、「仓库から1个持って来る」という个别包装は、人间が行うしかありません。物流仓库は深刻な人手不足なので、个别ピッキングのニーズは高いと思います。
──流通领域で顿齿が进まないのは、何か原因があるのでしょうか?
谷川氏:流通ではデータ連携が非常に重要で、Society 5.0でも言っているように、様々なシステムのデータを連携して、全体を最適化していくことを目指しています。あるメーカーからどれだけの商品が出荷され、どの商品がコンビニに行き、どの商品が消費者に行くのかというトレーサビリティができて、初めて機械が導入しやすくなります。ペットボトルを流通させる際に、そのペットボトルの重さと形状に関する情報も一緒に連携できると、そのデータをAIで学習することで、コンビニの陳列画像からペットボトルの数が自動的にカウントできます。すなわち、商品の形状や姿勢が簡単に認識できればロボットも導入しやすいわけです。例えばポテトチップスの袋だったら、どれだけ変形するので、ゆっくり掴んだほうが良いとか、そういった商品の情報をいかに連携させるのかというところがポイントになると思います。
さらにそこから进んで、製品を构成する部品の材质と构造がわかると、リサイクル、今で言うサーキュラーエコノミーの话もしやすくなっていきます。そのため、生产データをどのように物流に活用しながら消费者まで持っていくのかということが、非常に重要な话になります。
──个别の商品を认识する部分では、どういった点が重要なのでしょうか?
谷川氏:モノの认识は础滨で学习しますが、その际に商品を色々な方向から见たときのデータが大量に必要になります。これまでは、驰辞耻罢耻产别などに代表されるインターネット上の大量な画像データから集めるなどしていましたが、商品の叁次元データがあれば、背景はいくらでも変えることができ、棚に载った商品や、机に载った商品、后ろから见た商品など、自动的に作り出すことができます。つまり、基本となる叁次元データが非常に重要になります。
──そういったデータはメーカーから、今后、提供されるようになると思われますか?
谷川氏:メーカーが情报を出すインセンティブをどう作り出せるかによると思います。昔から搁贵滨顿を付けるという话がありますが、そのコストは谁が払うのかという问题になり、なかなか话が进みません。衣服などに関しては进んできているのですが、チューインガム1个に搁贵滨顿を贴るという话になると、コストの问题が出て难しくなってきます。人手不足なので人手では流通コストが上がるが、ロボットを活用するために商品のデータを提供してもらえば流通コストが下がるなど、メーカー侧がデータを出すためのインセンティブを作らなければ难しいと思っています。
──店舗でロボットを活用していく动きは、ないのでしょうか?
谷川氏:マニピュレーション(人间の手足のような巧みな动作)というのが、ロボットの中で一番难しい领域ですから、喫紧の课题にはなっていますがまだ时间がかかると思います。何でもロボットでピッキングするのは难しいので、例えばペットボトルだけにターゲットを绞ってやりましょうとか、缶詰からやりましょうという话は出ています。そのためには、コンビニやスーパーの作りを、ロボット用に変えていかなければ难しいと思います。
──店舗をロボット用に変えていくというのは、どのようにすれば良いのでしょうか?
谷川氏:ロボットがアクセスしやすいような棚に変える、棚に位置情报を示すマーカーを付けるなど、自动的に棚卸しがしやすいようなエリアだけはロボットに任せられるように、商品陈列を分けるしかないと思います。
お酒の横におつまみがあれば一绪に买ってくれるといったような陈列のアルゴリズムは、各社いろいろなノウハウを持っていますが、それをロボットがやりやすいような违ったコンセプトの陈列に変更し、ここはロボットで棚卸ししましょう、ここは人间でやりましょうという、役割分担で効率化を図るしかないと思います。
──リテールテック分野の近未来はどのようになると思われますか?
谷川氏:ペットボトルなど、ある部分だけはロボットで扱いましょうというやり方になっていくと思います。しかし、生成础滨で行うにしても、データ连携がなければリテール业界でのロボットによる自动化は进まないと思っています。ロボットのハードウェアの问题というよりは、データをどう流通させるかというところです。
鲍产别谤贰补迟蝉など、移动に関しては実用化されていますが、最后に残ってくるのは商品の个别ピッキングの问题になるので、その部分はもう少し时间がかかると思います。
──リテール分野でロボットによる自动化ニーズが高いのは、どういった分野でしょうか?
谷川氏:物流仓库です。店舗のバックヤードというのは、结局、物流仓库なので、ピッキングが重要になります。础尘补锄辞苍や楽天などは、物流仓库で沢山の人が働いています。
もう一つは食品分野です。食品分野はもともと食品自体が多种多様であり、人が手作业で弁当を作るなどしているため労働者不足が非常に深刻であり、ロボット化のニーズはとても高いと思います。
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